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丹下健三を突き動かしたモーメントを感じる展覧会

J-WAVE 平日(月~木)午後の番組「BEAT PLANET」(ナビゲーター:サッシャ)のワンコーナー 「HILLS AGENCY」。1月21日のオンエアでは、建築家、 丹下健三の思索や葛藤の軌跡を辿る展覧会『TANGE BY TANGE 1949-1959/ 丹下健三が見た丹下健三』に注目しました。

1月23日から3月28日まで、乃木坂のTOTOギャラリー・間(ま)で 『TANGE BY TANGE 1949-1959/丹下健三が見た丹下健三』展が開催されます。

丹下健三と言えば、東京オリンピックの水泳競技場、代々木体育館や、 東京カテドラル聖マリア大聖堂など、現代の東京を代表する建築を作りました。 最近の作品なら、現在の、東京都庁舎が有名です。その功績の大きさは、 ヨーロッパの知識人が戦後日本の文化人を3人挙げたら、映画の黒澤明、 文学の三島由紀夫、建築の丹下健三となるほど。そんな、丹下さんの展覧会ですが、 今回はいつもの丹下さんの展覧会とはちょっと違うと言います。

今回の展覧会の展示物は、丹下さん自らの作品や桂離宮といった 古典建築を撮影した写真のみという極々シンプルなもの。撮影時期も、 丹下さんの最高傑作と呼ばれる1964年代々木体育館は含まれず、 1950年代が中心となっています。そこから、どんな丹下健三を感じ取れるのでしょう。 同展覧会のキュレーターを務める豊川斎赫に話を聞きました。

「これらのコンタクトシートには丹下さん自身が雑誌などに掲載するために指示した トリミングラインが数多く記入されています。この線を辿ることで、 丹下さんが写真の中からどのように建築の理想を取り出そうとしたかを 追跡できるようになっています。その延長線上に代々木体育館や 東京カテドラル聖マリア大聖堂が存在しているため、この写真群に接すると、 傑作が生み出される理由やスピード感、建築用語で言えば、 “丹下健三を突き動かしたモーメント”を感じてもらえると思います」(豊川さん)

1950年代の日本のコンクリート建築は、西洋のそれと比べて、 太い梁や、柱が露出し醜いデザインでした。というのも、日本は震災が多いので、 当時の技術では仕方のないことだったそうです。しかし、丹下さんは、これを、 過去の古典建築の桂離宮のように、いかに素敵なデザインにするかを考えていたのだそうです。 梁が出るのだったら、それをデザインの一部にしまおうではないかと。

今回の展覧会は貴重なネガフィルムを通して、 そうした丹下さんの考えていたことを気づかせてくれる内容になっています。 震災後の建築を考える上で、また2020年の東京オリンピックに向けて 東京が変わろうとする中、丹下健三の軌跡から学ぶべきところがたくさんありそうです。

【関連サイト】
「BEAT PLANET」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/beatplanet/

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