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正直すぎる生き様に男も惚れる? 友川カズキの「独白禄」

J-WAVE平日(月~木)朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」 (ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー 「NESCAFÉ MEET AT BOOK CAFÉ」。2月23日のオンエアでは、 ブックディレクターBACHの幅允孝さんがおすすめの新刊『独白録 生きてるって言ってみろ』を紹介しました。

「この人がすごい人なんです」と幅さんが興奮気味に語るのは、『独白録 生きてるって言ってみろ』(白水社)の著者 友川カズキさんです。 友川さんを一言でいうと、「秋田なまりで叫ぶような渾身の歌を聞かせてくれる歌うたい」(幅さん)なのだそう。

友川さんは1950年生まれ、現在64歳の歌手であり、詩人であり、画家であり、そして競輪愛好家という人物。 1974年のレコードデビュー以来、30作を超えるアルバムを発表しながら、 2010年にはドキュメンタリー映画『花々の過失』でコペンハーゲン国際ドキュメンタリー映画祭の 「音と映像部門」で最優秀賞を受賞するなど、ジャンルにとらわれず表現するアーティストです。 その40年にわたる創作キャリアを友川さん自身の言葉で振り返ったのが、『独白録 生きてるって言ってみろ』です。

エピソードには、友川さんの原点となる青春時代の数々の出会いなどが回想されています。 たとえば、中学2年生のとき、掃除当番で図書室に行ったときに中原中也の『骨』という作品に出合い、 「あの世界を覗き見ちゃったら、もうあとには戻れないんだな」と詩にのめりこんでいきます。 高校時代は、全くのバスケットの素人ながらバスケットをやりたいがために秋田のバスケの名門として知られる能代工業に、 1年浪人してまで入学。そして20歳のときに、あるフォークシンガーとの雷に打たれるような出会いを経て、 肉体と魂をぶつけた歌作りへと邁進していくことに。

そんなふうに、妥協することなく、自分に正直に歩んできた道なりが描かれています。 その魅力を幅さんは次のように語りました。

「今でも川崎のアパートに一人住みながら自炊して暮らしている、 しがない歌手といえば、そうなのかもしれないんだけど、ものすごく素敵なんです。 独白本にありがちなオラオラ系といいますか、自慢っぽい武勇伝がたくさんあふれている感じでは全然ない。 どちらかというと、とても謙虚に語っているんだけど、どこか壊れている。 壊れているんだけど、どこか納得もできるし、笑えるし、美しい」(幅さん)

また、ゴールデン街で作家の故中上健二さんと飲んだ話や、 アーティストの篠原勝之さんや作家の故山際淳司さんを自宅に招いてそうめんを振るまった話など、 食べ物と交遊録のエピソードも面白く、人を惹きつける友川さんの人間的魅力に感服するのだそう。

自分に正直に生きたいとは思うが今の世の中では……と思っている方、 一読してみてはいかがでしょうか。時代に流されることなく生きる友川さんの姿に 痛快な気持ちになれるはず。

【関連サイト】
「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/index.html

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