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ドリアン助川 「誰も立ち上がらなかった」ハンセン病への偏見を小説に

J-WAVE平日(月~木)夜の番組「JAM THE WORLD」のワンコーナー「LOHAS TALK」(ナビゲーター:小黒一三)。6月17日のオンエアでは、作家のドリアン助川さんが登場。小説『あん』のテーマであるハンセン病への偏見と、誕生秘話を語りました。

2013年にポプラ社から発売されたドリアン助川さんの小説『あん』が映画化され、現在公開中です。この映画は、ドリアンさんのたっての希望で、監督には河瀨直美さん、主演には樹木希林さんで実現。カンヌ国際映画祭「ある視点部門」でのオープニング・フィルムにもなり、アメリカをはじめ、35カ国以上での上映も決定しています。

今は投薬治療によって2、3日で治ってしまうというハンセン病。20年前の1996年まで絶対隔離という、偏見や差別があったことをご存知でしたか。

「欧米諸国は戦後すぐに特効薬ができていましたから、1950年代、60年代には通院治療の対象の病気になっているんです。ところが日本だけがなぜか96年まで絶対隔離という。これは誰かが立ち上がらなきゃいけなかったと思うんですけど、誰も立ち上がらなかったということで、その間も絶対隔離と同時に、中で労働させたりとか、いろいろなことがあったわけですよね」(ドリアンさん)

その偏見は壮絶なものでした。ハンセン病患者は家族の戸籍から抹消されることも多く、治っても帰る故郷さえなかったと言います。映画の舞台にもなった、国立療養所の多磨全生園には、今も4000体以上の遺骨が故郷に戻れずに納骨堂に眠ったまま。ドリアンさんは、この映画を作るにあたって、河瀨監督と希林さんの3人で納骨堂に祈りに行ったのだそう。そこから映画作りが始まったと言います。

また、この小説、実は大手出版社から出す予定だったのですが、上からストップがかかり、お蔵入りになってしまう危機があったのだとか。

「正直、ハンセン病の元患者さんと、出版に向けて頑張ると約束しましたので、裏切ったことになっちゃうので、僕もそのときは主人公の仙太郎のようにずいぶん酒に。僕はナメクジみたいになっちゃうんです、一回折れると。ゴミのようになっていましたね。そうしたら、心ある編集者と知り合って」(ドリアンさん)

さまざまな出会いがあって、誕生した小説『あん』。そして、作家のドリアンさん、監督の河瀨さん、主演の希林さんの思いが一つになって実現した映画『あん』。小説で、映画で、ハンセン病への偏見と、差別に負けない人間の強さについて考えてみてはいかがでしょうか。

【関連サイト】
「LOHAS TALK」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/blog/lohastalk/

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