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江戸時代の名物が復活 多摩川の「江戸前アユ」

J-WAVE平日(月~木)朝の番組「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナー「MITSUBISHI JISHO TOKYO DICTIONARY」。6月23日のオンエアでは、「江戸前アユ」というキーワードをピックアップ。

綺麗な水質の川に住み着かないアユですが、東京の多摩川では近年、アユが増えているそうです。東京のアユといえば、江戸時代に徳川将軍に献上されたことでも有名な江戸の特産品でしたが、高度経済成長期に工場や家の排水で川が汚染されてしまったため、アユは激減してしまいました。

それから約30年後の1990年代。下水道整備が整ったことにより川の水質が改善されると、たくさんのアユの姿を見ることができるようになり、現在では毎年400万匹以上のアユが確認されるようになったそうです。しかし、問題点もあります。

動物ライターの里中遊歩さんによれば、多摩川には、川の水の流れをせき止める堰(せき) がいくつかあり、アユが遡上(そじょう)できないそうなのです。あるデータによれば、一つの堰をクリアできるアユは約50%で、いくつもの堰がある多摩川では、上流に辿り着けるアユはわずかだと考えられているとか。

多摩川の堰やダムの数は19カ所。そこにはアユなど魚が通れる「魚道」が川の端に設置されていますが、アユがこの魚道を見つけることができず、立ち往生してしまうことも多いそう。そこで東京都は先月、多摩川の中流で約3万匹のアユを捕まえ、トラックで上流に運び放流することで遡上を手伝いました。

ちなみに、これらアユなどの川魚が増えたことで、水鳥が増えているそう。たとえば、川鵜(かわう)は、1970年代には全国で3000羽ほどしか確認できませんでしたが、現在はエサの川魚が増えたことで、6万羽以上に増えているそうです。また、多摩川周辺の飲食店では、多摩川でとれたアユを塩焼きや天ぷらにして提供する店が増えているとか。

高度経済成長期前の多摩川を知る人には、懐かしい風景が戻りつつあるようですね。自然本来の姿へ戻すことで、「江戸前アユ」が大衆魚として私たちや次の世代に愛されるようになることを願うばかりです。

【関連サイト】
「J-WAVE TOKYO MORNING RADIO」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/

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