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美しすぎて怖い…想像力を掻き立てる幽霊画展

J-WAVE平日(月~木)の午前の番組「BEAT PLANET」(ナビゲーター:サッシャ) のワンコーナー「HILLS AGENCY」。7月22日のオンエアでは、 「うらめしや~ 冥途のみやげ展」をピックアップしました。

東京藝術大学大学美術館で、22日から開催されている 「うらめしや~ 冥途のみやげ展」。同展は、明治の噺家、 三遊亭圓朝の幽霊画コレクションを中心に、日本の美術史に足跡を残す幽霊画、 または恨みを描いた作品が展示されています。具体的にはどんな絵があるのでしょう。 東京芸術大学大学美術館の准教授、古田亮さんに聞きました。

たとえば江戸時代に活躍した円山応挙の幽霊画。 一見、黒髪を垂らした美しい女性が描かれているかと思いきや、 よく見ると腰から下が描かれていない。この足のない幽霊画が日本の幽霊の典型とされて、 現在に至るまで、幽霊画といえば応挙の幽霊と言われるようになった作品です。

また、江戸時代に流行した、浮世絵のジャンルの一つ錦絵の幽霊画も必見です。 これは、江戸時代の後期に流行した歌舞伎を題材にして、 浮世絵師達によって盛んに描かれた幽霊画。 四谷怪談など、身も凍るような歌舞伎の場面が、 迫力ある絵で描かれています。

最後に紹介されるのが、近代のものとなる、 幽霊画というよりも美人画と言っていいような綺麗な女性たちが描かれる作品群。 綺麗な女性が実は生霊であったり、これから蛇になるところであったり、 よく見ると足がなかったり、というように、 バックグラウンドに何らかの物語を持っていて、よく見ると実は怖い! というのが特徴。美しい生霊は怖そうです。最後に、古田さんに幽霊画の楽しみ方を聞きました。

「一番怖いのは、もしかしたら人の心かもしれない。 誰かに恨まれるのは怖いですけれども、 もしかしたら誰かを恨んでしまう状況になるかもしれないというのは、 もっと怖いかもしれません。人生経験を重ねてくると、 怖さというのが、見て怖いというよりも想像して怖くなるということが分かってくるんですね。 これは室町時代の能の世界もそうだし、江戸時代の歌舞伎もそうだし、 明治時代の圓朝の話もそうかもしれません。いろいろな作品から、 それを感じ取っていただけると、この展示会をより楽しめるんじゃないかと思います」(古田さん)

美しさの裏に人間の持つ怖さを映し込んだ幽霊画。幽霊画は想像力を掻き立てるからこそ、 深く心に残るのでしょうね。うだるような暑さを吹き飛ばすなら、心から冷える幽霊画が効果的かもしれませんよ。

【関連サイト】 「HILLS AGENCY」オフィシャルサイト
https://www.j-wave.co.jp/original/beatplanet/

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