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チェルノブイリ原発の「観光地化」 東浩紀が語る、日本が学べる点

チェルノブイリ原発の「観光地化」 東浩紀が語る、日本が学べる点

J-WAVEで放送中の番組『JAM THE WORLD』(ナビゲーター:グローバー)のワンコーナー「UP CLOSE」。6月25日(月)のオンエアでは、月曜日のニュース・スーパーバイザー、津田大介が登場。作家・思想家の東 浩紀さんをお迎えし、東さんが実施するチェルノブイリへの観光ツアーについて伺いました。


■チェルノブイリ原発の観光地化

東さんの会社、株式会社ゲンロンでは、1986年に史上最悪の原発事故を起こしたチェルノブイリへの観光ツアーを、ほぼ1年に1度の間隔で実施しています。今年は6月2日から8日の日程で行われました。このツアーが始まる前の2013年に、津田は取材のために、東さんに同行してチェルノブイリを訪れています。

津田:チェルノブイリを定点観測して、どのような変化が見られますか。
:2016年の秋に実施した前回のツアーから、今回のツアーまでに1年半が経ちました。その間にチェルノブイリは観光地化が非常に進んでいました。2017年は5万人近くがゾーン(旧立ち入り禁止区域)に入っていると言われ、観光ツアーもかなり充実しているようです。ゾーンの入り口にはお土産屋まであります。

チェルノブイリ原発の急速な観光地化に対して、このまま進めるのか、もう少し落ち着かせるのかという岐路に立っていると話す東さん。

津田:僕らが2013年にチェルノブイリを取材したときは、「とにかく原発事故の悲惨な現実をありのままに見てもらうことで、全世界の人たちに記憶や教訓を残したい」という考えを持って、原発見学が非常に重要なことだと肯定的に捉えている人が多かったですよね。

東さんはそもそも、ネットで、チェルノブイリ原発の跡地でピースサインをしながら写真に写っている人を見て衝撃を受け、チェルノブイリに興味を持ったと言います。

津田:なぜ東さんは実際にチェルノブイリ取材に向かい、チェルノブイリに関する本を出版しようと思ったのですか?
:東日本大震災で起きた福島の原発事故の今後を考える上で参考になるかと思ったからです。だた、チェルノブイリを訪れてから5年以上が経ち、ツアー参加者の関心も非常に変わってきました。2014年のツアーでは参加者が福島に感心を持ち、放射線測定器をみなさん持参していました。しかし、今回のツアーでは福島に関する質問は少なく、放射能測定器を持参したのはひとりだけでした。

震災後に日本人は放射能に対してリテラシーが上がり、「放射能災害が自分たちの国のことなんだ」と感じながら緊張感を持って、チェルノブイリのツアーに参加する人が多かったそうですが、今回は、参加する日本人の側の気持ちも変わっているし、チェルノブイリの観光地化も進んでいる、と東さんは指摘します。

:ゾーンの入り口も、お土産屋さんもありますし、ここから先は別の空間に入るんだと思わないわけです。ゆるく入れる空気が作られてるし、日本人の方も福島の記憶が薄れてきているのかなと感じました。


■ウクライナとロシアの関係を学ぶことが重要

東さんが実施するチェルノブイリ原発の観光ツアーは、ゾーンを訪れるだけでなく、博物館に行くなどウクライナの歴史を学ぶプログラムになっています。

:チェルノブイリ原発事故の問題を考えるうえで、ウクライナとロシアの関係は欠かせないところなんです。ウクライナは原発事故があっても、原発依存率が5割を超えている。これを見て、「ウクライナ人はチェルノブイリ原発事故を反省していない」と批判するのは簡単だけど、詳しく見ていくと、これにはウクライナとロシアの間で起こっている長い民族的な関係と、エネルギー問題の関わりがあります。ウクライナは他国にエネルギーを依存ぜず、自国で賄いたいという意向から原発依存率が高くなっているんです。

そういった事情を知らないで、チェルノブイリを単純に「原発事故の場所」として捉えることがないように、ウクライナの歴史的な文脈を理解してもらえるようなプログラムにしていると東さんは説明しました。


■原発作業員がブラックボックス化する日本

最後に、日本がウクライナから学べることについて伺うと、東さんは「両国の文化や宗教の背景が違うので一概には言えない」と前置きしながらも、「ウクライナは、原発事故の跡地を観光地化するという果敢な実験をしている先輩」と話します。

:これについて、日本の人たちにもっと知ってほしいと思います。ウクライナで特に印象が強いのは、事後処理作業員や以前に原発で働いていた人たちがしっかり顔と名前を出して、講演活動や著作活動をかなり行っていることです。それに対して、日本ではいまだに原発作業員はブラックボックスに包まれている。福島の原発事故から7年が経ち、彼らが顔を出して証言するときは一体いつ来るのだろうと思ってしまいます。

「原発事故の処理にチェルノブイリは失敗したけど、日本は上手くいっている」という意見もあるが、実際に働いていた人たちが顔を出せるウクライナの環境から学ぶべきことが日本にはあるのでは、と東さんは意見を述べました。

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【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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