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中田英寿が「COEDOクラフトビール醸造所」を取材 海外ではフルーツフレーバーのビールがあるのに…

COEDOブルワリーの朝霧重治さん

中田英寿が「COEDOクラフトビール醸造所」を取材 海外ではフルーツフレーバーのビールがあるのに…

J-WAVEで放送中の『VOICES FROM NIHONMONO』(アンバサダー:中田英寿、案内役:レイチェル・チャン)。中田英寿が47都道府県を巡る旅で出会った日本の"ほんもの"の作り手たち、日本の"ほんもの"=「に・ほ・ん・も・の」を紹介する番組です。7月20日(土)のオンエアでは、中田が埼玉県東松山市にある「COEDOクラフトビール醸造所」へ向かいました。


■「ビールは農産物である」

COEDOは、Beer Beautifulをコンセプトに掲げたクラフトビールブランドです。代表・朝霧重治さんに、COEDOビールの製造を始めた経緯やコンセプトを訊きました。

朝霧:70年代に農業をやろうっていう、その頃のうねりの一派です。
中田:農業の会社がビールを始めたということですか?
朝霧:そういうことです。70年代に「農村がしっかり食べていける流通を作っていきたいね」ということで、会社の名前は「株式会社協同商事」のままになっています。「ビールは農産物である」と。同じ畑で同じ野菜を作っていると連作障害が起こって土地がやせてしまいます。そういったことをしないように、日本の農家たちは輪作をしていろんなものを植えてきました。そして、この辺りは麦を植えるという農耕があったんです。北側に行くと水田が荒川とか利根川の水系で広がっていくので、二毛作もできる。それもあって麦が盛んですし、武蔵野台地は武蔵野うどんという粉もの文化があり、麦が身近でした。それなのに、現代の農家は小麦を作ってもあまり売り上げにならないということで、緑肥として畑にすき込んでしまっていた。これが考えてみたらもったいない。ブドウ畑からワインが生まれてきます。私たちがフランスのブドウを日本で食べる機会はありませんが、ワインであれば世界中の人たちが喜んで飲みます。「こういうのも先進国の農業だよね」ということで、私たちの会社の基本的な考え方ではビールが出てくるんです。
中田:農家さんが自分たちで農作物を売りますよね。そのときに形が悪いものなどが出たら加工品にするというような考えに似ているわけですね。
朝霧:そうです。ただ、ものを作るのではなく、ものづくりのプロになろうということです。

COEDOブルワリーが拠点にしている埼玉県川越は「小江戸」として観光スポットにもなっています。その地の利について話を訊きました。

朝霧:麦を使ってヨーロッパの豊かなビール文化を日本でも提案できたら......ということでしたが、観光地のお土産物や特産品という時代の雰囲気にのみ込まれてしまったところがあります。2006年にもう1回、ビールのことをしっかりと、自分たちが身を置いていた業界として深く反省するところがあり、やり直そうということになりました。そこから新しく今のCOEDOを始めました。
中田:名前は昔からCOEDOだったんですか?
朝霧:漢字の「小江戸ブルワリー」でした。たとえば「紅赤-Beniaka-」というビールの前身はサツマイモを使うというのがCOEDOの本当の原点で、最初に作られた商品は当時「サツマイモラガー」という言い方をされていました。もっとわかりやすい観光地型の商品といっていいと思います。ラベルのデザインも川越のローカルを感じるような、そういう要素がある90年代の商品でした。決して観光地型の商売を否定するわけではなく、本当にそれがメーカーとしてやりたいことなのかと振り返ったときにどうか。

そうしたなかで「いま一度ビールの楽しさや素晴らしさを伝えたい」と朝霧さん。

朝霧:小規模に手づくりで、ブルワリーとしてビール職人たちが手仕込みで作っている。そういう作法と「たくさんのビールを提案することができる」ということを丁寧にお伝えしたい。アメリカ人が作ってくれた言葉「クラフトビール」は言い得て妙だと思います。その言葉を使わせていただいて、お伝えしようという活動を始めました。

VOICES FROM NIHONMONO

■さまざまなビールが楽しめる時代になりつつある?

以前は「地ビール」という言葉をよく聞きましたが、ここ数年は「クラフトビール」という言葉をよく耳にするようになりました。その違いについても訊きました。

朝霧:地ビールが誕生した背景は規制緩和です。バブルが崩壊して地域経済がすごくダメージを受けた。地域経済の担い手として観光業が大きいですが、昭和末期から平成初期に建てられた大型の物件はかなりダメージを受けました。それで、何か経済政策をしなきゃいけないということで、ビールが選ばれたわけです。
中田:規制緩和で変わったのは最低製造量だと思いますが、どのくらい変わりましたか?
朝霧:年間2000キロリットル作らないと免許が取得できなかったところ、年間60キロリットルに変わりました。COEDOの333ミリリットルのビールを18万本分作れば大丈夫です。さらに、日本の酒税法は独特ですよね。発泡酒や第3のビールとか。そうなるとワインとかと同じ6キロリットルまで下がります。
中田:工場を作らなくても、タンク1本がお店の中にあれば作れちゃう量になったということですね。
朝霧:発泡酒自体はもともとハードルが低かった。ビールが緩和されたことによって、ビールの製法だけど原料が少し違うだけで発泡酒ということで、世に出るようになりました。
中田:発泡酒とビールの違いはなんですか?
朝霧:ビールの原料は麦芽、ホップ、日本の場合はお米とコーンスターチ(トウモロコシのでんぷん)。発泡酒はそれ以外のものをビールに足した場合です。たとえば、ベルギービールはもともとサクランボやフランボワーズを使ったフルーツフレーバーがあって、海外ではそれが普通にビールです。だけど、日本だと酒税法上は発泡酒になります。
中田:そこが大きく違うんですね。だからヨーロッパに行くといろんな味の幅広いビールがあるんですね。
朝霧:最近は酒税法が少し改正され、特殊な副原料も5パーセント未満の添加量であればビールと言っていい、ということになっています。COEDOの取り組みだと、「堀口珈琲」さんとの「コーヒービール」が出せるような時代になりました。

何気なく飲んでいるビールの裏側や作り手の思いが伝わるお話でした。

【この記事の放送回をradikoで聴く(2019年7月27日28時59分)】 PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『VOICES FROM NIHONMONO』
放送日時:毎週土曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/nihonmono/

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