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なぜジャーナリストへのパスポート発給拒否が起こる? 当事者が警察・外務省からの圧力を告白

なぜジャーナリストへのパスポート発給拒否が起こる? 当事者が警察・外務省からの圧力を告白

ジャーナリストに外務省がパスポートの発給を拒否する、という事態が起こっている。ジャーナリストの常岡浩介さんは、今年2月、取材のため中東イエメンに渡航を予定していたが、外務省からパスポート返納を命じられ、出国できなくなった。そして4月、国を相手に処分取り消しを求めて東京地裁に提訴した。旅券返納から半年が立ち、常岡さんは旅券の再発行を申請していたが、外務省から正式に「発給拒否」の回答があったという。同じくフリージャーナリストの安田純平さんも外務省よりパスポートの発給拒否を受けているが、なぜ日本はふたりにパスポート発給を拒否するのか? 常岡さんをゲストにお迎えし、詳しい話を伺った。

【9月19日(木)のオンエア:『JAM THE WORLD』の「UP CLOSE」(ナビゲーター:グローバー/木曜担当ニュースアドバイザー:堀 潤)】


■出国直前に突然のパスポート発給拒否

今年2月、イエメンに取材に出かけようとしていた常岡さんは、空港のゲートを通ろうとしたところ、自分のパスポートが登録されていないという事実に気が付いた。空港スタッフからは、旅券返納命令が出されており、パスポートが無効化されていると告げられたそうだ。

常岡:そこで外務省から電話がかかってきて、パスポート返納命令を出しますと言われました。それに対して、「違法な命令ですので従いたくない」と言いましたが、そのままパスポートは失効化されてしまいました。
:イエメンでは内戦で市民が苦しんだり、医療のサービスが受けられないなど、世界的な人道危機の現実があり、それを取材されるために向かわれるところだったんですよね。
常岡:そうです。今でも世界では、サウジアラビアの油田がイエメンからという名目で攻撃され、戦争化が危惧されています。ところが、イエメンから攻撃していることになっていますが、報道がほとんど入っていないので、肝心のイエメンの現状が伝えられないままです。甚大な人道危機、飢餓が起こっているため、現場で何が起こっているのかをちゃんと報道しなければいけないのですが、それが全くできないまま半年が経ってしまいました。


■外務省の説明と、感じる"ズレ" ...本当の出国拒否の理由は?

外務省は2月の時点で、常岡さんに「オマーンから入国拒否をされている」ことを理由にパスポートを返納するよう命じた。ところが、再度パスポートを申請した際には「オマーンとトルコから入国拒否されている」と、意見を変えたという。

:日本政府としては、現地の過激派団体に拘束されることなどを想定して、政府が交渉事をしなければならない事態を避けたかったのでしょうか。そのあたりについては、具体的な説明は受けられましたか?
常岡:私のパスポート発給拒否の理由として、後藤健二さんがイスラム国(IS)に殺害された事件については言ってきていません。しかし、裁判をしていくなかで、外務省側が旅券返納命令を出した経緯について、それぞれの主張を出してきました。そのなかには、私が過去にアフガニスタンで捕まったことや、シリアで日本人が殺害された事件が起こったことが含まれていました。ただ、これはおかしいんです。外務省が旅券返納命令を出したときには「私がオマーンから入国拒否を受けている」と明確に言っていたのに、それとは関係のない主張を外務省がしてきている。裁判官に対する印象操作のように見えてしまいますね。


■ある日突然"犯罪者扱い"に? 警察の不当な書類送検

さらに、常岡さんは被疑事実すら伝えられないまま、「私戦予備及び陰謀罪」の容疑者として書類送検された。パスポート発給拒否だけでも異例の事態であるのに、海外の国で私的に戦争をしかけることを企てたという疑いをかけられたことに対し、常岡さんは説明を求めている。

常岡:私がオマーンから入国拒否をされているから旅券返納命令を出したというのが、外務省の当初の説明でした。しかし、裁判をするなかで、私がイエメンに行こうとしていたことを外務省は事前に知っていたことを徐々に書類で認め出しました。こちらが主張していた内容を、外務省がそのまま認め始めているので「おやおや」という感じです。
:本来だったらパスポートの発給などは、正当な手続きがなされるべき案件ですよね。
常岡:旅券返納命令が間違った法律だなんて、私は思っていません。世界中にそうしたシステムはあります。ただ、私は犯罪行為に関わっているわけでもなく、まともな取材行為をしているだけなのに、それに対して旅券返納命令を出して一体どうしたいのか? こちらとしては、それは絶対に説明をしてもらいたいと思っているところです。

常岡さんは、現在も不当な扱いを受け続けていることを再度リスナーに訴え、実際に裁判の傍聴に来てもらうことが今回の件の理解・支援へ繋がると呼びかけた。

J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時20分頃から。お聴き逃しなく。

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/

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