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ストリーミング時代の音楽は「イントロなし」が当たり前? 亀田誠治、KREVAらが語る

ストリーミング時代の音楽は「イントロなし」が当たり前? 亀田誠治、KREVAらが語る

J-WAVEがいま注目するさまざまなトピックをお届けする日曜夜の番組『J-WAVE SELECTION』(ナビゲーター:サッシャ)。10月6日(日)のオンエアは、9月28日・29日に六本木で開催された「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2019 supported by CHINTAI」(以下、「イノフェス」)を特集。ここでは「IMAGINE THE FUTURE」をテーマに、亀田誠治、AmPm、KREVA、鈴木貴歩によるトークセッションを紹介する。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月13日28時59分まで)


■ストリーミング時代の音楽の特徴とは?

「音楽制作のイノベーション」について、エンターテック・アクセラレーターの鈴木貴歩が、アメリカの調査をもとにした「ストリーミング時代の楽曲の特徴」を解説した。

「ストリーミング時代の楽曲の特徴」

鈴木:今は、イントロが5秒くらいしかないと。
亀田:ないやつも多い。僕、プレイリストを並べてみて、2018年に好きな曲は洋楽でも邦楽でも半分以上イントロがなかった。
鈴木:なるほど。まさに、そういうのがストリーミング時代の楽曲。そして曲名が短くなりました。ファレル・ウィリアムス『Happy』とか、わかりやすいですよね。曲名が短くないと、スマホのプレイヤーで流しているときに3単語くらいしか出ないんですよね。スクロールするまで待たなきゃいけない。

次に挙げたのは「リフレインが突然くる」ということ。これは、リスナーがスキップする前にサビを聴かせるという特徴。3分30秒以上の曲が少なくなっており、覚えてもらえるように同じフレーズを何度も繰り返すなどの特徴も挙げられた。

「音楽制作のイノベーション」


■等身大の歌は時代遅れ?

亀田は、作曲者に注目してほしいと言う。一曲に関わっている作曲者が複数人いる共作(コライト)が多いのだ。作曲者は基本的にひとりというイメージがあるかもしれないが「それは邦楽だけ」と亀田はこう続ける。

亀田:日本はほぼひとりの方が作曲しています。これ、本当によく「まだそんなことを言ってるんだ」と思うけど「やっぱりシンガーソングライターが等身大の言葉で歌ってほしいよね」みたいな。この「等身大」と言ってるのはJ-POPのワールドだけで、欧米では等身大であることよりも、いい曲か、みんなで歌える曲か、ということ。そこに重きをおいてる。
KREVA:別の次元というか、別の評価軸ってこと?

「ストリーミング時代の楽曲の特徴」

亀田:そう。ワビサビやメリハリをつけてるために長くなる。でもその分、J-POPには情緒があったり大サビがあったりする。
KREVA:等身大の情緒。
亀田:そういうところに重きがおかれていて、それがJ-POPのよさでもあり、特徴にもなってるわけ。

ところが、ストリーミング時代の現在、開始5秒で曲が判断される「5秒世代」と言われており、スマホ世代の音楽の聴き方は、これまでと大きく変わっている。ストリーミングサービスは30秒以上を聴かれないとカウントされないため、ミュージシャンたちはなんとか30秒を聴かせることにエネルギーを注ぐことになっている、と鈴木は話す。

亀田はここ数年、ロサンゼルスに行き、曲の共作作業に参加。狭い部屋にプロデューサー、トラックメイカー、歌詞を考えながらメロディを考えるトップライナーなどが集まって話し合いが行われたと振り返る。

亀田:たとえば「テイラー・スウィフトがこういう曲を集めているから、そこのコンペに向かって曲を書こう」とか。曲の行き先がもう見えてるわけですよ。そこに向かって、数々のプロデューサー、ミュージシャン、作曲家たちが垣根を超えて、ひとつの部屋に集まって曲を作り上げていく。

この作業では、いかに瞬発力でエネルギーのある曲を作れるかが求められると亀田は言う。AmPmも楽曲制作は共作がメインだが、ストリーミング時代に合わせた作り方ではなく「いま作りたいものをそこに集まったメンバーで進行するという感じです」と明かした。


■KREVA『AFTERMIXTAPE』に込めた意味

鈴木は、KREVAの最新アルバム『AFTERMIXTAPE』を例に挙げ、「ミックステープが、ソーシャル時代の音楽の作り方からきていると思う」と話した。

KREVA:『AFTERMIXTAPE』には「ミックステープ以降」っていう意味も込めたんです。今はもうミックステープは必要なくなってきてると思うんですよ。ミックステープって、たとえばスタジオレベルのクオリティの作品を出せないアーティストが、あるアーティストのスタジオで録ったインストゥルメンタルトラックに自分のラップをのせて、それを集めて出すとか。そうすればクオリティは担保される、とりあえずは聴いてもらえる、みたいな時代があったんです。でも今のような時代になってきて、すぐにアップできるラフなものが求められてるんだったら、雑でも自分で作ったものを出してしまえばいいって時代に入ってきている。危ない道を進まなくてもいいっていう意味があると思うんですよね。

「そういう意味では今の流れは大賛成で、どんどん進めばいい」とKREVAは語った。

亀田:作り込まれすぎちゃってるものに対して「もういいよ」っていう、今までの選択肢を選ばなくなってきている。そういう幕開けにストリーミング時代が火をつけた感じがしますね。

番組では他にも、世界で初めてブラックホールの撮影に成功した天文学者・本間希樹、宇宙が大好きなm-flo・VERBAL、サッシャの3人による「ブラックホールと異次元空間への旅」をテーマにしたトークセッションを届けた。詳しくはradikoでチェックしてみてほしい。音源は2019年10月13日28時59分まで。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2019年10月13日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『J-WAVE SELECTION』
放送日時:毎週日曜 22時-22時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jwaveplus/

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