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スタバがスタッフ教育にマニュアルを用意しない理由は? 「人のあたたかさ」を生み出す秘訣

スタバがスタッフ教育にマニュアルを用意しない理由は? 「人のあたたかさ」を生み出す秘訣

J-WAVEで放送中の番組『FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)。1月26日(日)のオンエアでは、スターバックスコーヒージャパンCEOの水口貴文さんがゲストに登場。スターバックスが手掛ける、未来を見据えた空間づくりに迫った。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年2月2日28時59分まで)


■「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」は、コーヒーのワンダーランド!

この日はスタジオを飛び出し、中目黒にある「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」にお邪魔した。その圧巻の建物に小川と南沢も驚く。小川は「カフェの次元を超えている」とコメントした。

「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」

400坪もの敷地を持つ同店は、入口に入ると、まず目に入ってくるのは4階までつながっている高さ17メートルのキャスクだ。そのほか、コーヒー色のエプロンを着たパートナー(従業員)の紹介や1階から4階までのフロアについて水口さんが案内した。

「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」

南沢:すごくワクワクするような、テーマパークのような場所ですね。各フロアそれぞれに特色があってすごく楽しかったです。
小川:パートナーの皆さんのユニフォームも扱っているものも違うから、フロアごとにさまざまな顔が見えるところがテーマパークっぽいですね。
水口:まさにここを作るときに「コーヒーのワンダーランドを作りたい」と思っていました。各フロアに特徴を出して五感で体験する。それぞれのフロアを探検していくのが楽しくなるような建物にしたくて作りました。

スターバックスは日本で1500店舗を超えた。世界にはロースタリ―が6つあり、そのうちの1つがこの中目黒店だ。

「スターバックス リザーブ(R) ロースタリー 東京」

小川:どのようにこの店舗を作ったんですか?
水口:建物自体は建築家の隈 研吾さんが、徐々にズレていく棚田をイメージして作ってくださいました。また、せっかく日本で作っているので文化へのリスペクトを取り入れています。和紙を使ったり天童木工さんと一緒に家具を作ったり。また、天井のインスピレーションは折り紙です。それから外はすごく温かみのある建物なんですが、中はオーセンティックな工場になっています。そこが面白さを出していると思いますね。また、目黒川沿いなので自然に調和したものを作ろうと、使っている木の色を薄くしているのも特徴です。


■スターバックスが若い人材への支援に力を入れる理由

J-WAVEで放送中の番組『FUTURISM』(ナビゲーター:小川和也・南沢奈央)にて

スターバックスでは、2/3が大学生。日本の未来を担う若者に期待し、さまざまな支援を行っている。

水口:これからの社会では環境や多様性、そして日本のよさや住んでいる地域のよさを再発見することがテーマになってくる。それらのすべてのベースが、これからの日本を作っていく若い子たち。彼らが元気に前向きにチャレンジすることを支援できたらと思っています。
小川:僕のまわりの若いスタートアップの子がアイデアを話すときにスターバックスをよく利用します。コーヒーを飲みながらだとアイデアも出やすいしコミュニケーションも取りやすい。
水口:「コーヒー飲みに行こうよ」ってただ飲みに行くのではなく、「なんか話そうよ」って意味だと思うんですよね。コーヒーを媒介としてコミュニケーションが生まれることがコーヒーの大きな力。我々は、それを“場”として作っていきたいですね。

「ユース・コネクション&アントレプレナーシップ育成」という取り組みを始めた。日本の社会や世界にプラスになること、役に立つことを解決していくプロジェクトだ。

水口:全国のパートナーに30歳未満の子がリーダーとして、1人入ることを条件にチームを作ってもらい、世の中をよくすることを募集しました。105件の応募の中から優勝したチームのプロジェクトをサポートしています。
小川:プロジェクトの仲間探しでもあるんですね。そういう職場は日本では少ないから増えるといいですよね。
水口:人と一緒に何かをやって達成していくこと自体が仲間を作っていくし、それ自体にエネルギーがありますから。優勝したチームは、プラスチックごみについて透明のカップを紙で作れないかという案でした。大学教授と話してある程度できる可能性を調べて提案してきたんですね。今は「どうやって具現化するか」というところで、会社とチームが一緒に取り組んでいます。
小川:教育だけでなく、実際のアクションとしてスターバックスという場を通じて実践していくのはすごくいいことですよね。
水口:みんなで議論していても前に進まないので、どんなに小さなことでもいいからやってみることを大事にしています。もしかしたら大きなことはできないかもしれないけど小さな石を池に投げ込んだら、仲間ができるし共感した人が波紋のように広がっていくかもしれない。小さくてもいいから投げ込まないと何も始まりません。僕らがあることで社会にとってなにかプラスになる、「意義のある成長をしていこうよ」といつも言っています。


■「あたたかさ」を生み出すのは、人間らしさだ



スターバックスには、1日80万人が訪れる。そのうちの1割がスターバックスで活力を得て幸せになれば、8万人がハッピーになる……こんな想いが、根底にある。

水口:デジタルの時代だからこそ人の温かみを大事にしたい。今はいろいろなことがコントロールできる時代ですが、人の心だけはコントロールできないものとして残る気がするんですよね。心に幸せな気持ちを伝えるのは人の温もり。この時代だからこそ、温かみを感じる場や居場所を作ることが我々のやるべきこと、社会貢献だと思っています。

スターバックスは、カップにちょっとしたイラストを描いてくれることがあるなど、スタッフのおもてなしも好評を博しているが、ルールとして定められていることではない。マニュアルが存在しないのだ。

小川:マニュアルがないからこそ、人によって違う心のコンディションに合わせられていろいろなあたたかさが生まれているのかな。スタッフ教育も現場任せというのも多様なあたたかさを生みだしているポイントなのかなと思います。
水口:あたたかさを生み出すのはヒューマニティ、人間らしさですよね。人間としてその人のことを察して認め合う。まずそれをやりたい。そしてもう一歩踏み込んで、人のつながりが生まれる場になるといい。スターバックスを媒介としていろいろな人がつながっていくと、日本や地域の未来にプラスになるのかな。
小川:スターバックスは大手チェーンだと見られがちですけど、地域によって店舗の特色も違いますよね。
水口:そこで働くオーナーシップを大事にしています。自分の思いで働けるか。そういえば先日、町田市で認知症の患者さんとご家族をつなげる「Dカフェ」をスタートしたお店をニュースで見ました。「へ~」と思っていたら、うちだったんです(笑)。「こんなことやってるんだ!」とそこで初めて知りました。その取り組みも1人のアクションが伝わって今では町田市全体に広がっています。スターバックスを場として、繋がりやコミュニティができている。これが本来、その地域で我々がやる役割なのだろうと思っています。

『FUTURISM』では、「未来を創る鍵を探る」をテーマに、各分野で活躍するゲストを毎回迎えてお送りしている。時間は21時から。お楽しみに!

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年2月2日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『FUTURISM』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/futurism/

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