「音楽に何の力もないと思った」岩手県・花巻市出身のアーティスト・日食なつこが当時を振り返る

J-WAVEで放送中の番組『SONAR MUSIC』(ナビゲーター:あっこゴリラ)。音楽プロデューサー、CD・レコードショップのバイヤー、ライブハウスのスタッフ、音楽評論家、海外在住の音楽ライターなど、様々なジャンルの音楽好きが日替わりでヤバい音を紹介する「GEEK OUT」のコーナー。

3月11日(水)オンエアの「GEEK OUT」では、 岩手県・花巻市出身のアーティスト・日食なつこが登場。東日本大震災から9年。当時と現在の東北について語った。


■音楽に「何の力もないと思った」

岩手県・花巻市が地元の日食は、地震発生時「盛岡市でライブのリハーサルをやっていた」と振り返る。

日食:リハーサルのときにあったテレビが昼ドラから日本地図の中継に変わり、緊急速報が流れた瞬間に地震がドカンときました。
あっこゴリラ:うん。
日食:そのときライブハウスにいた仲間たちと慌てて外に出たら、町中がガンガン揺れていました。盛岡駅のすぐそばにあった会場だったので駅の様子も見られたんですけど、お客さんたちが右往左往してしまっていて……真冬で雪も降り、すごい寒かったんですけど、駅員さんがお客さんのために毛布を持って走り回ってたりして、とにかく非日常な光景でした。

地震発生当時はミュージシャンが様々なアクションを起こしたが、日食は音楽が持つ力について「地震発生直後は何の力もないなと思った」と明かす。

日食:本当に地震が起きた直後っていうのは、何も物資が足りていない。誰かのところに助けを求めたくても車のガソリンがなく、待つしかなかった。食料も水も電池もなく届かないってなったときに、音楽って何の役にも立たないなって話をみんなでしてました。音楽の力が必要になってきたのは地震が発生して何週間、何ヶ月って経ってから。心に元気がなくなったときに我々が1曲2曲歌って、ちょっと心のガソリンになるかな、くらいだったので、逆に私は音楽ってこういうときに何の役に立つんだろうなってすごく自問自答しました。


■立ち直った自分たちをまずは祝福する

ミュージシャンとして、どのように3月11日という日と向き合っているのだろうか。

日食:私は、3月11日はとにかく遊んで酒を飲んで楽しく暮らすっていうのをモットーにしてます。
あっこゴリラ:とても素敵ですね。
日食:海沿いの地域に住んでいて津波を被ってしまった音楽仲間が、「俺は生き残った身としてこの先は好きなことしかやらないで生きてやる」って言ってたんですけど、その人の言葉に私もすごく感銘を受けました。
あっこゴリラ:うんうん。
日食:もちろん3.11のときに、地震のこととか被害を被ってしまったいろんな人たちの場所のことを考えるのは大事なんですけど、そのときの不安とか恐怖を思い出すんじゃなくて、そこから立ち直った自分たちをまずは祝福するべきかなって私は思ってます。
あっこゴリラ:当時は私も受け止めきれず、どうしたらいいか分からなかった自分がいました。当時バンドで歌っていた内容が、“失恋した”とか“自分に自身が持てない”とか、日常の小さな内容だったから、バンド内では「この時期にこんな小さな歌うたえない」とか、「どんな気持ちでドラムを叩いたらいいか分からない」とかそういうことでぶちあたってました。
日食:うんうん。
あっこゴリラ:でも、それって生きてるからこそなんだよなっていうところにたどり着いて、自分たちのリアルな生きてるからこその想いを歌おうっていう風になれたっていうことを今すごい思い出しました。


■それぞれの町のサイズに合った前進の仕方

東日本大震災から9年経ったいま、東北はどのくらい復興しているのだろうか。

日食:みなさんそれぞれ小さな工夫を持ち寄って前進したり変わっていってらっしゃるっていうのはすごく感じますね。
あっこゴリラ:うんうん。
日食:2ヶ月くらい前に、岩手のとある中学校の授業に特別講師という形でお邪魔したんですけど、そのときお邪魔した地域がまさに仮設住宅を置いてたっていう地域でした。その仮設住宅からも、もうほとんどの人が新しいお家に引っ越していて、その小屋を「そろそろバラして新しく燃料に使ったり、再利用を考えてます」っていうお話を伺い、それぞれの町のサイズに合った前進の仕方をみなさんしてらっしゃるなという風に私は感じました。
あっこゴリラ:素敵ですね。せっかくなので、ここで日食なつこさんの曲をお届けしたいなと思うのですが、どの曲にしますか? 
日食:この時期だからこそ、真っ直ぐにこの曲をお届けしたいなと思います。



あっこゴリラ:本当にど直球の楽曲なんですけども、これは全ての歌詞が「うんうんうん」って入ってきちゃいますよね。
日食:『大停電』っていうタイトルと曲の中身が震災に直結しがちな曲だっていうことで、かけるタイミングを選ぶ曲なんですよね。
あっこゴリラ:そうかもしれないですね。
日食:自分でもラジオに出させていただくときに、3.11が近いからこの曲やめておこうかなとかって毎年なるんですけど、今年はあえて『大停電』という曲で、3.11のとき非常事態に自分たちに何ができたのか、あるいは何ができなかったのかっていうのを問題提起として掘り起こしたいなと思いました。


■カホンとアコギのバイタリティ溢れる音色が魅力

この日のオンエアで日食なつこが紹介したのは、カホンをメインとしたパーカスを担当するカツシとギターのショウ441からなる、岩手を拠点に活動するユニット EL SKUNK DI YAWDIE。

日食:色々考えて、このタイミングで東北のことを思い出す曲がいいかなと思って、最初はしんみりした曲を考えてたんですけど、3.11は私は元気に生きるんだっていう風に決めたので、元気な曲を持ってまいりました。

【オンエアはこちら】EL SKUNK DI YAWDIE『MANTI』をradikoで聴く

あっこゴリラ:かっこいい〜! カホンとかなんですかね? 
日食:カホンとアコギですね。
あっこゴリラ:音の取り方も最高ですね! 
日食:この曲あっこゴリラさんが多分お好きだろうなと思いました。

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【番組情報】
番組名:『SONAR MUSIC』
放送日時:月・火・水・木曜 21時−24時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/sonarmusic/
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