新型コロナウイルスで「外国人労働者」も苦境…突然の解雇や給料の未払い

(画像素材:PIXTA)

終息がみえない新型コロナウイルスの問題。ネット上では多くの人が、仕事がなくなったり、給料がカットされたりといった生活苦を訴えている。

日本で働く外国人労働者も例外ではない。そもそも最低賃金を下回るような劣悪な待遇で働いていることも少なくない彼らは、新型コロナウイルスによってどんな苦境に置かれているのか。

3月16日(月)にオンエアされたJ-WAVE『JAM THE WORLD』のワンコーナー「UP CLOSE」では、労働相談を中心に活動するNPO法人「POSSE」で外国人労働者の相談に対応している岩橋 誠さんをゲストに招いた。話を訊いたのは、月曜日のニューススーパーバイザーであるジャーナリストの津田大介。


■時給300円、4ヶ月タダ働き…外国人労働者のおかれた現状

ここ数年、外国人の技能実習生の劣悪な労働環境がメディアで報じられるようになった。「POSSE」にも多くの相談が寄せられている。

岩橋:外国人の技能実習生が縫製工場で時給300円で働かされるケースなど、私たち「POSSE」では年間100件ほど外国人の方から相談を受けています。そのなかには技能実習生以外の方もいます。たとえば、就労ビザを取得し行政書士事務所で働いている外国人が、その事務所にパスポートを奪われ、返還を求めても応じてもらえないケースも。なぜなら、最低賃金ギリギリで雇っているので(パスポートを返して)辞められると困るからです。他にも、神奈川県のホテルで4カ月ただ働きをさせられる外国人もいます。今回のコロナ問題以前に、外国人労働者の働き方は不安定なのです。

2019年4月に政府は外国人受け入れ拡大へ舵を切り、「改正出入国管理法」を施行したが、外国人労働者の環境改善はみられないそうだ。

岩橋:外国人労働者の数は増えていますけど、「POSSE」に来る外国人の相談には、「うちの工場の正社員は日本人だけだ」と言い切った経営者もいますし、そういった人権侵害は「改正出入国管理法」で減ってもいないし、むしろ増えていると感じています。


■新型コロナで、突然の解雇や給料未払いも

そんな状況のなか、新型コロナウイルス騒動が発生。「POSSE」に寄せられる外国人労働者の相談に変化はあったのか。

岩橋:普段はブラック企業に対しての労働相談などを受け付けていましたが、新型コロナウイルスの発生によって、ここ数週間で日本人も含め200件くらいの相談が寄せられています。外国人の相談ですと、たとえば観光客が激減したためにホテルで働く中国人が会社から「辞めてくれ」と言われている。他にも、中学、高校や英会話学校が休校になったために英語の先生に給料が払われない、そもそもその説明もないというケースの相談も多くあります。
津田:外国人の方と会社の労働契約ってどうなっているんですか?
岩橋:そもそも労働契約を結んですらいないケースがほとんどです。契約書はその外国人が読めないことをわかっていて、日本語で「給料は20万円」と明記されていることもあります。また、「正社員だよ」と言っていたにもかかわらず、実際は1年契約だったとか、騙すような契約もあります。契約書がないケースも多いですね。
津田:そういった外国人が労働基準監督署(労基署)に駆け込むことはできないのでしょうか。
岩橋:労基署は限定的で、労働基準法違反でないと調査ができません。賃金に関しては相談ができますが、たとえば「辞めてくれ」と言われたケースは労働基準法違反ではないですし、セクハラやパワハラなどの問題は、労基署が管轄外なのでそもそも対応できません。
津田:そういった状況だからこそ、立場的に弱者である外国人労働者が被害を受けるケースが続いているわけですね。


■今後、外国人労働者の大量解雇もあり得る

「POSSE」では、相談にどう対応しているのだろうか。

岩橋:まずは相談を聞いて、どういうところに問題があるか、困っていることは何かを知ったうえでアドバイスします。最近では、「新型コロナウイルスの影響もあるため給料の50パーセントを支給します」と言われた外国人がいました。労働基準法だと最低でも60パーセントの給料は支給されなければならないし、契約の論理で言えば100パーセントの給料を請求する権利があるんです。そのため「50パーセントではなく、100パーセントで請求できる」とアドバイスして実際に請求書を一緒に作成したり、(相談者が)遠方に住む方の場合はその地域の支援を紹介したりして、実際に権利侵害を受けている方の権利が回復されるようなかたちで支援しています。

外国人労働者が不当な扱いをされる現状を改善するためには、国レベルでの対応が必要だ。現在は相談窓口も限られている。

岩橋:たとえば、英語やスペイン語、ポルトガル語で相談する場合は、事前にアポイントを取る必要があり、それに対して「平日の○時に来てください」など言われ、かなり時間が限定されてしまう。でも、平日の14時に来てくださいと言われても、働いていたら厳しい。メールで相談を受付するなど、国レベルで対応が必要だと思います。
津田:外国人労働者の受け入れを積極的に勧める諸外国と比べても日本は対応が乏しいのでしょうか?
岩橋:そうですね。たとえば通訳に関しても日本は学校でも相談窓口でも圧倒的に不足していると思います。新型コロナウイルス関連で言えば、2月頃に厚労省のホームページで新型コロナウイルスの外国語情報を自動機械翻訳で発信したため、誤訳が多発したと報道されました。もし、全く逆の意味で訳してしまった場合は大変なことになります。そういったことからも、国レベルできちんと外国の方に言語的にきちんと情報発信することが大切です。学校休校の件も、いつ学校が休みになるのか、どの学校が休みになるのかの情報が自分の言語で入らないので困っているという相談もありました。

新型コロナウイルスの影響で、今後日本経済がさらに悪化していく場合、弱い立場にいる外国人労働者はどんな事態に直面する可能性があるのか。

岩橋:休業が長引くと、外国人労働者には副業ができない場合もあるため、貯金を切り崩す必要も出てきますし、特定の人以外は生活保護を受けることがほとんどできません。
津田:日本人とセーフティネットが全く違うわけですね。
岩橋:また今後、外国人労働者の大量解雇もあり得るかもしれません。外国人留学生の場合ですと、解雇になると次の働き口を見つけられなければ学費を払えなくなり、帰国せざるを得なくなってしまいます。技能実習生もほとんどが大きな借金を背負って日本に来ているので、解雇になるとその借金を抱えたまま帰国せざるを得なくなりかねません。

J-WAVE『JAM
(NPO法人「POSSE」岩橋 誠さんと津田大介)

2019年4月、「POSSE」は、外国人の相談を受ける専門窓口として外国人労働サポートセンターを立ち上げた。英語と日本語で相談を受け付けている。

・外国人労働サポートセンター(POSSE)
https://foreignworkersupport.wixsite.com/mysite

岩橋:私たちは外国人労働者からの相談を通じて本人の権利救済を行うことはもちろん、そのような問題が日本全体でどのくらいあるのかを社会に発信していくことが大事だと考えています。実際の相談をブログなどで発信すると、「私も同じ状況で苦しんでいます」という声が寄せられます。どう届けるかも考えながら、相談対応をしていきます。

最後に岩橋さんは「みなさんのまわりで困っている外国人労働者を見つけたら、ぜひ『POSSE』や行政の窓口、弁護士への相談を提案してほしい」と話し、「外国人の代わりに相談することもできる」と日本人でもできるサポートも提案した。

J-WAVE『JAM THE WORLD』のコーナー「UP CLOSE」では、社会の問題に切り込む。放送時間は月曜~木曜の20時15分頃から。

【番組情報】
番組名:『JAM THE WORLD』
放送日時:月・火・水・木曜 19時-21時
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/jamtheworld/
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