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「コロナ解雇」や給料の未払いは不当? 判断基準を社労士が解説

画像素材:PIXTA 

「コロナ解雇」や給料の未払いは不当? 判断基準を社労士が解説

猛威をふるう新型コロナウイルス。仕事に影響が出ている人も多いだろう。解雇や雇い止めをされた場合、不当解雇に当たるのだろうか? J-WAVEで放送中の番組『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」(ナビゲーター:サッシャ・増井なぎさ)では、社会保険労務士の神野沙樹さんに話を聞いた。オンエアは4月8日(水)。


■解雇や雇い止めが増加

業績悪化に伴う解雇は、「整理解雇」と呼ばれる。神野さんによると、整理解雇は「妥当で合理的な判断でなくてはならない」という規定があるそうだ。判断基準は4つある。

神野:1つ目は、人員削減の必要性があるかどうか。人員を削減しなければならないほど売り上げ利益が本当に落ちているのかということです。2つ目は、解雇を避けるために企業努力をしているかどうか。解雇に踏み切る前に休業でしのげなかったのか、役員報酬を下げたり新規採用をやめたりといったことが、企業努力と言えます。3つ目は、解雇の対象者の選定が妥当であったかどうか。部署でその人だけが解雇されるといったケースは不合理になります。なぜ解雇されるのかの基準が合理的かどうかが重要です。4つ目は、解雇理由の説明や話し合いがきちんとおこなわれていたかどうかです。
サッシャ:なるほど。いきなり解雇ではなく、きちんと理由を説明しなければいけないということですね。
神野:そうです。真摯に向き合ったかどうかは大切な要素です。4つの条件を満たしていない場合、不当解雇と見なされる可能性があります。


■休業や雇い止めに合った際の対処法

「休業するから、給料を払わない」と言われて生活が立ち行かなってしまった……という人もいるだろう。しかし、企業判断で休業する場合、会社は社員に対して「休業手当」を支払わなければならない。ざっくり言うと、1日あたりの給与額の最低6割を補償しなければならない制度だ。泣き寝入りせず、「出るケース」「出ないケース」を知っておきたい。

神野:分かれ道のポイントは「企業判断での休業かどうか」です。たとえば、「わが社は感染拡大防止のために休業する」という判断をした場合は、「企業判断での休業」になるので、休業手当を6割払ってください、ということになります。しかし、例えば社員が新型コロナウイルスに感染し、消毒などによって職場が一時封鎖される場合だと、企業が営業を続けたいという意思があったとしても閉じざるを得ない状況なので「企業都合」とは言えず、休業手当を支払わなくてもよいということに……。
サッシャ:え!? 社員からすると、どちらも同じですよね。
神野:そうなんです。企業が払わなくてはならないかどうか、という線引きがあるんですけど、実際に休業になっているのだから、給料の補償はすべきですよね。企業によっては、特別休暇扱いとして100パーセント補償する場合もあります。あとは、あえて休業手当を払い、助成金を得て雇用を維持するケースもあります。

雇用を維持するための会社への助成金には、いくつかある。その1つが、売上が下がったことによって休業を余儀なくされた企業に対する「雇用調整助成金」。企業判断で休業する場合に社員に支払う休業手当を補填するものだ。

サッシャ:大きな企業じゃないと「休業手当は払えません」と言われる可能性もありますよね。その場合の対抗手段はないのでしょうか?
神野:各都道府県に相談窓口があります。また、弁護士さんが任意で作っている相談窓口もありますね。緊急事態宣言が出た関係で、強制的に休業を求められた業種とそうではない業種がありますが、可能な限り自粛をと要請された以上、休業手当の取り扱いは流動的になる可能性があります。今後、国からの指針が出るかもしれないので、動向を見守ることも必要だと思います。


■フリーランスや非正規に向けた支援

パート、アルバイト、非正規、派遣社員、契約社員、フリーランスといった、正社員ではない労働者の支援もある。

神野:休業手当は、正社員ではない非正規の方も対象になります。4月以降、「雇用調整助成金」が拡充されて、短時間労働者も助成されることになりました。加えて、小学校や幼稚園、保育園が休校になることで仕事を休まざるを得ない方向けの助成金もあります。あとは、売上が半減するなどしたフリーランスを含む個人事業主に100万円を上限とした一時金支給や、無利子無担保の融資もあります。住民税非課税世帯など、各家庭への支給も準備が進んでいるようですが、具体的にはこれからといった状態です。
増井:感染拡大による内定の取り消しも大きな問題となっていますが、内定している状態での補償というのはあるのでしょうか?
神野:補償というのはないのですが、「内定の取り消しは合理的であったか」は重要なポイントです。ただ、企業側がやむを得ず内定を取り消しているケースですと、就職をしても休業だったり雇用継続が難しいと言われる可能性はあります。残念ではあるのですが、他の企業の就職も視野に入れたほうがいいかなと思います。

自分に当てはまる支援がないか、国の動向をチェックしていこう。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-13時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone

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