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「会ったことのない人と働く」も当たり前に? ウィズコロナ時代の働き方を考える

画像素材:PIXTA 

「会ったことのない人と働く」も当たり前に? ウィズコロナ時代の働き方を考える

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行による外出自粛で、これまでの“当たり前”が大きく変わった。働き方がそのひとつで、テレワークをしている人も少なくないだろう。

新型コロナは、いつになれば終息する、と予測できる類のものではない。警戒しながら生きていく「ウィズコロナ」の時代に、私たちの働き方はどうなるのだろうか。

未来を切り開くインスピレーションを伝えるJ-WAVE『TAKRAM RADIO』は、東京とロンドンを拠点に、人工衛星から和菓子まで幅広くものづくりに取り組むデザインファーム・Takramの渡邉康太郎がナビゲーターを務める。4月30日(木)のオンエアでは、Takramのパートナーでディレクターの田川欣哉を迎え、ウィズコロナ時代の働き方について考えた。


■リモートワークが加速し、コミュニティのフラット感が増した

渡邉によると、Takramでは「リモートワークがけっこううまくいっています」とのこと。

渡邉:オンライン会議もできているし、家での仕事の環境も整理が進んでいる。オフィスは都心にあるけど、都心に住まなくてもいいかもしれないと考えはじめている人もいます。そうなると軽井沢など都心から離れた場所に住むことも不可能ではない気がします。

渡邉は、1週間に1、2回だけオフィスに行くような働き方も当たり前になるかもしれない、と考えている。

田川:Takramは東京の他に、ロンドンとニューヨークにもオフィスがありますよね。今まではどうしても東京が一番大きいので、東京のコミュニティの一体感と、そこからロケーションが離れた場所のコミュニティはちょっと質が違っていました。でも、今は全員がデジタルプラットフォームで集まっている状況になり、画面上では東京、ロンドン、ニューヨークのどこにいるかわからないから、メンバーのロケーションの差がなくなっている。
渡邉:確かに。
田川:ロンドンのメンバーはリモートの状況下になってからのほうが、グローバルに見たときのコミュニティのフラット感が増したと話していました。僕もそれを強く体感しています。


■時差の問題を除けば、住む場所が関係ない時代がくる

コミュニティがフラットになったとしても時差は克服できないが、その問題を除けば住む場所は関係ない、とも言える。

田川:僕たちは生活スタイルとして、オフィスに集まることが染み付いています。だから、「一度も会わないメンバーがコミュニティに参加することはあり得るのか?」などの話をまだリアリティを持って考えられていない。でも今後、この環境が長く続くと、新しいメンバーの面接や参加もリモートでおこなわれる状況があり得ると思います。そうやって発展して考えると、日本の首都圏ではない場所に住みながらも、首都圏の組織に参加することが進んでいくと考えています。

地球スケールで考えると、例えば日本やヨーロッパ、アメリカなど、北半球の同じような緯度で経済圏・文化圏の層が形成されているが、仮にウイルスの影響により飛行機で移動できなくなる世界になるのであれば、時差の少ない同じ経度の国のコミュニティの結びつきが強くなる可能性があると、田川は想像を膨らませる。

田川:時差で考えると、日本は韓国や中国の一部、台湾、南半球だとオーストラリアとかニュージーランドも時差がそれほどないエリアだから、グローバル企業のグルーピングが経度で構成されるようになるかもしれない。今、オーストラリアの人がリモートで日本のコミュニティに参加したら、ほとんど違和感がないんじゃないかな。
渡邉:そうかもしれないですよね。活動する時間がそろっていれば、画面越しにいる人が近くにいるか遠くにいるかは関係なくなりますよね。


■「状況に合わせた柔軟な対応」がビジネスに求められる

この状況下において、田川は「今までやってきたことはいったん忘れる必要がある」と話しながら「新しい制約や条件の中でも楽しみを生み出せたり、社会的なことや文化的なことができたりするはず」と期待を口にする。

渡邉:経済は止めてはいけないから、シフトできる部分はする。その変化を歓迎したほうが楽しい部分はあるから、できることは受け入れながらも、都度立ち止まってチェックする態度は忘れずに進みたいですよね。
田川:本当にそうですよね。今は全てが仮説であり、条件がすごく揺らぐんだと思います。ウイルスが収まったと思ったら、また出てきてしまうとか、また出てきたらちょっと収まったとか、状況が安定することを前提にできない。その揺れている状況でも常々変えられるような仕組みが必要ですよね。

例えばレストランの場合、外出自粛とそれが解除されたときのどちらにも対応できる営業になっていくのではないかと、田川は予想する。

渡邉:約100年前に全世界で大流行したスペインかぜも、第一波、第二波、第三波と、まりが跳ねるように、一度収束したように見えても、またやってくる。しかも第二波にはウイルスが強毒化していて、より死者が増えたという話もあるから、今回の新型コロナウイルスでも同様のことが起こらないとは限らない。だから、一度自由を得るけどまた外出自粛するような揺り戻しは起こる可能性がありますからね。

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田川:だからこそ、レストランや会社など、今まではフォーマットの最適はひとつって感じだったけど、その最適が複数個あって、しかもその複数個の最適が行ったり来たりと、お互いが滑らかに繋がれるような設計をしなくてはいけないんだろうなと思います。

その流れから、田川は今後さまざまな業種でより柔軟性が出てくるのではないか、と考えを語った。

最後に、渡邉は「今は物事をおこなうための前提条件が日々変わっている状況にある」と述べる。

渡邉:前提が変わってしまう世界では、100点満点の解答と100点満点の計画を練ることはすごく難しい。ほぼできない。なぜなら前提自体が変わると100点の意味がそもそも変わるし、計画が正しいのかも変わる。だから、変化に素早く反応できるための仕組みや態度が一番大事になるのかなと思います。

これからの時代は、状況を見据えた柔軟な思考や行動が、より求められるようになっていくだろう。

【番組情報】
番組名:『TAKRAM RADIO』
放送日時:毎週木曜 26時30分-27時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/takram/

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