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松居大悟の初小説『またね家族』 リアルな関係性を描く作品の魅力を、佐藤千亜妃が語る

松居大悟(左)/佐藤千亜妃(右)

松居大悟の初小説『またね家族』 リアルな関係性を描く作品の魅力を、佐藤千亜妃が語る

劇団ゴジゲンの主宰で、脚本家、映画監督、俳優と多岐にわたって活躍する松居大悟。J-WAVEでは、『JUMP OVER』(木曜 26時-26時30分)のナビゲーターを務めている。

そんな松居が、初小説となる『またね家族』(講談社)を5月20日(水)に刊行する。

【『またね家族』あらすじ】

父の余命は3ヵ月。
何者にもなれなかった僕は――
あなたの息子には、なれたのでしょうか。

小劇団を主宰する僕〈竹田武志〉のもとに、父から連絡があった。余命3ヵ月だという――。 自意識が炸裂する僕と、うまくいかない「劇団」、かわっていく「恋人」、死に行く大嫌いな「父親」。周囲をとりまく環境が目まぐるしく変わる中、僕は故郷の福岡と東京を行き来しながら、自分と「家族」を見つめなおしていく。不完全な家族が織りなす、歪だけど温かい家族のカタチ。
講談社BOOK倶楽部より)

5月14日(木)の『JUMP OVER』では、一足先に本書を読んだアーティスト・佐藤千亜妃がリモート出演し、松居に感想を伝えた。


■いい意味でドラマチックじゃない…家族との絶妙な距離感を描く

本書の感想を生で聞くのが初めてだという松居は「動揺してきた」と緊張ぎみ。佐藤は「読み始めは、すごく男子校的な世界観というか」と切り出す。

佐藤:男性しか出てこなくて、もちろん共感するために読んでいるわけじゃないけれど、中盤くらいまで共感する人がいないまま進んでいったんですね。でも、お父さんが出てきたりすると、自分も経験したことがある内容になっていきました。「家族」っていうテーマって、誰しもが抱えている問題だと思っていて。
松居:うんうん。
佐藤:幸せそうな家庭でも何か苦労があると思うし、周りから見れば不幸そうに見える家庭でも、見えない繋がりがあったりだとか。この本はそういうことを、いい意味でドラマチックじゃなく描いているのがいいと思っていて。過剰表現がなくてリアリティがある。

佐藤は、「本当に自分が経験したことを書いているのか、全くのフィクションなのか、どっちなのかが気になりました」と質問。松居によると、主人公が劇団を主宰していて、福岡が地元というのは、自身のバックボーンと同じだが、ストーリーはフィクションだと答えた。


■「人生ってこんな感じだよな、案外」

松居が家族というテーマを描くのは初めてとなる。そこには、こんな理由があった。

松居:演劇とか映像は、たくさんの人が関わって、描きたいテーマをみんなと共有しながら作っていくんですけど、これまで家族をテーマにしたことがなかったんです。共有するのが恥ずかしいから。でも、小説はひとりと編集者という少人数で作っていくから、そういう形であれば、やりたいのは家族というテーマだなあと。いちばん共有したくない、自分が持っている家族への肌感覚を物語にしていったという感じですね。
佐藤:家族との距離感の描き方が、経験した感覚の中から言葉を選んで書いているのかなと感じたんです。そういうリアリティがあるからグッとくるところがありましたね。家族って、一言では言い表せられない感情があるじゃないですか。全てを肯定はできないけど、全否定できるほど愛がないわけじゃないみたいな、不思議な距離感の生き物だと思うので。
松居:うん。正解もないし。
佐藤:それが一つの例として、リアリティをもちながら、静かに「人生ってこんな感じだよな、案外」と示すような。映画的な小説だなと思いました。

松居は自身の経験として、父親と気まずいまま会えなくなったと明かす。

松居:父親は、こういう……浮き草稼業のようなものがあまり好きじゃないというか。母親はテレビでコメントをしたりする仕事で、僕はそっちに影響を受けていて。わりと気まずい関係のまま会えなくなったから、ずっとしこりがあって。でもそれを言葉にしたくもないし、なんかこう、うーん……というところから書いたんです。それって、すごく個人的な閉じられた経験だけど、リアリティがあると言ってもらえたり、ちょっとでも共感できるようなところがあるのなら嬉しいですね。
佐藤:すごく響きました。
松居:ありがとうございます。

番組の最後は、佐藤がミュージックシェアをすることに。「家族と言えば」と言葉を添えて、ハナレグミ『家族の風景』をオンエアした。松居もかけようと思っていたという一曲だ。『またね家族』は5月20日(水)発売。ぜひ手にとってほしい。

来週の『JUMP OVER』でも引き続き、佐藤と松居のトークをお届けする。なお、今回の番組前半では、佐藤が活動休止中のきのこ帝国について語る場面もあった。こちらはradikoでチェックしてほしい(再生は2020年5月21日28時59分まで)。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年5月21日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『JUMP OVER』
放送日時:木曜 26時-26時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/jumpover/

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