劇場での上映 VS デジタル配信の闘い…!? 米映画界から考える、今後の鑑賞スタイル

画像素材:PIXTA

ビジネスからライフスタイルまで、さまざまなアプローチから世界の“今”を紐解く「KONICA MINOLTA GLOBAL SCALE」。『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』(ナビゲーター:別所哲也)のワンコーナーだ。5月11日(月)のオンエアでは、アメリカにおける映画業界の「ビジネスモデル」について紹介した。

先日、来年2月に開催されるアカデミー賞で、一部のインターネット配信の作品も選考の対象とすることが発表された。本来、アカデミー賞の選考対象になるには、ロサンゼルス郡内にある映画館で、連続7日間以上、1日3回以上上映することが条件となる。今回は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、映画館の閉鎖が続いているための措置となる。

この日は、ロサンゼルス在住の映画ライター・小西未来が、アメリカにおける映画業界のビジネスモデルを解説。アカデミー賞の候補作品としてネット公開のみの作品が認められた一方で、配信による映画配給で現地で注目されているのが、アニメ映画『トロールズ ミュージック☆パワー』だ。一体、何がポイントなのだろうか。

小西:アメリカでは、劇場公開映画に関してシアトリカル・ウィンドウと呼ばれる、劇場側と配給会社側とのルールがあります。劇場で公開した新作は、およそ3ヵ月、作品によっては78日や88日というように異なりますが、ある程度の期間をあけないと、ストリーミングなりオンデマンドなり、デジタルのレンタルといったことを一切してはいけないという紳士協定みたいなものがあるんです。ユニバーサルは『トロールズ ミュージック☆パワー』の劇場公開をもともと準備していましたが、それをすっ飛ばして劇場公開をするはずだった日に、いきなりデジタルでレンタル発売をはじめました。加えてユニバーサルは、今後こういったデジタル配信を続けていくと、高らかに宣言したんですね。言ってみれば、今弱っている相手に対して、ある種ものすごく喧嘩を売ったように見られているわけです。今、メジャーのシネコンチェーンなどは「今後ユニバーサル作品はボイコットする」という風に宣言しています。

しかし、スタジオにとって劇場公開なしでビジネスを成立させるには今はまだ難しい状態だという。

小西:たとえばユニバーサルだと看板シリーズが『ジュラシック・ワールド』シリーズとか『ワイルド・スピード』シリーズがあります。これは世界中の劇場で大きくヒットして、そのあとでデジタル配信などで儲けるというパターンのほうが、確実に儲かるものです。ですので、そちらもデジタルに踏み切る勇気はない。劇場に喧嘩を売りっ放しの状態ではいられないので、うまい落としどころを見つけなければいけないところだとは思います。

デジタル配信と、リアルな劇場での上映。そのバランスの在り方が、今改めてアメリカでも注目されているようだ。映画を楽しむ生活者、ユーザーは、これからの映画鑑賞スタイルを、どう考えているのだろうか。小西が、今アメリカで広がりを見せつつあるトレンドと共に解説した。

小西:映画館でみんなと経験を共有する、というものは求められています。ドライブインシアターはアメリカだとほとんど過去の遺物だったのですが、今はそこにたくさんの人が詰めかけて映画を観ているんですね。各自それぞれ自分の車にいるので、ソーシャル・ディスタンスを維持できるからです。家でも同じ映画は観られるのに、わざわざ外に出かけて、「みんなと一緒に映画を観る」という経験を楽しんでいるんです。ですので、「映画を外で観る」というのがなくなることは、おそらくないだろうとは思います。ただし、その形がちょっと変わる。大作といったお金をかけた、いわゆる「見世物」的なものは外に行って、そうではないものはお家でっていうパターンにどんどん進んでいく気がします。

ソーシャル・ディスタンスを保つことができるドライブインシアター。日本でも今後注目を集めていくことになるのだろうか。

【番組情報】
番組名:『J-WAVE TOKYO MORNING RADIO』
放送日時:月・火・水・木曜 6時-9時
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/tmr/
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