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20年後、音楽はどうなる? AIの演奏は既にプロレベル【スガ シカオ×フジファブリック山内】

20年後、音楽はどうなる? AIの演奏は既にプロレベル【スガ シカオ×フジファブリック山内】

J-WAVEで放送中の『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』(ナビゲーター:スガ シカオ)。その時代、その場所で、どんな音楽を聴きたいか―――時代を越えて、国境を越えて、ナビゲーターのスガ シカオが旅好き・音楽好きのゲストと共に音楽談義を繰り広げる、空想型ドライブプログラムだ。

5月31日(日)のオンエアではフジファブリックの山内総一郎と、「2040年の東京」を空想ドライブする様子をお届けした。20年前、今、そして20年後。街は、音楽はどう変わるのか。


■ミュージシャンあるある? 使わなそうな楽器をなぜか購入

スガはオープニングトークで自粛期間中に音楽関連機材を次々と購入してしまい、出費がかさんでいることを告白。これを聞いていた山内は自身も同じような悩みがあることを明かした。

山内:さっきスガさんがおっしゃっていた「機材を買っちゃう」というのは、めちゃくちゃわかりますね。
スガ:すげぇヤバイもん。「こんなの使わないでしょ?」みたいなものまで「いじってみたいかも?」って買っちゃうんだよね。
山内:(楽器を鳴らしつつ)これなんかも、クラベス(2本の棒状の木片を打ち合わせる楽器)とか……。
スガ:(笑)、買ったのそれ?
山内:買いました(笑)。
スガ:それ、ギターを弾きながらできないじゃない。
山内:そうなんですけど、ちょこちょこ「使うんかいな」みたいなものを買っちゃいますね、こういう生活だと。
スガ:あと俺は、唇のところに当てて吹く、音程がちょっと変えられる笛みたいなやつをこないだ買っちゃったんだよね。
山内:なんすか、それ(笑)。
スガ:絶対に使わないんだけどさ、買っちゃうんだよね。
山内:それはわかります。


■「2040年の東京」はどんなところ? AIが人の知能を超える!

山内は空想ドライブの場所として「2040年の東京」をリクエストすると、東京出身のスガは「これはある意味ハードルが高いな」と苦笑。20年後の日本はどのような変貌を遂げているのか、「Hi, Mercedes」と話しかけるだけで起動する対話型インフォテイメント・システム「MBUX」に詳細を尋ねた。

MBUX:2040年、日本の総人口は1億1千万まで減少します。ただし、東京~名古屋間に開通したリニアモーターカーで、都市間の移動が容易になることなどにより、首都経済圏は引き続き拡大を続ける見込みです。また、団塊ジュニア世代が高齢化するため、老年人口の比率が過去最大となり、増大化する社会保障への対応が危惧されます。労働環境面では、通信速度の超高速化とロボットテクノロジーの進化によって、リモートワークが日本全体の60パーセントまで拡大。電子マネーの普及により、コンビニなどの商店は無人化となります。車は電気自動車が主流となり、自動運転で移動することになります。最後に5年後の2045には、AIが人類を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」に到達すると予測されています。
スガ:ありがとう「MBUX」。俺、「シンギュラリティ」というのが気になっちゃったんだけどさ、人工知能が人間の知能を超える転換点。これヤバくない?
山内:知能が進むということは、コンピューターが性格を持つ、個性が出てくるということですよね。
スガ:いよいよ映画みたいになってくるね。どうなっちゃうんだろうね?
山内:僕は東京に住んで、あと数年で20年なんですけれど、そんなになにかが大きく進歩したというのは、そこまで感じてないんです。
スガ:そうかい?
山内:車が空を飛んでいるとかもまだないですし。
スガ:(笑)。でも、小さなところで生活はかなり変わった気がするな。
山内:スガさんは小さいころから今までで、東京はめちゃくちゃ変わっているんじゃないですか?
スガ:変わってるよ。だって昔住んでいたところに行ってもなにも残ってないもの。周りのビルも全部変わっちゃってるし、下手したら道や坂がなくなっているし。生まれたところなんて全然面影もないよ。
山内:渋谷でしたっけ?
スガ:そう、渋谷。電車とかだって全部地下に入っちゃったしさ。東京だからかもしれないけど、街がどんどんと変わっていくことに嫌悪感もなにもないんだよね。「それは変わるでしょう」ぐらいの感じしかないよね。


■山内が2040年の東京ドライブで聴きたい曲は?

山内は「2040年の東京」でのドライブで聴きたい曲をピックアップ。まずは40年経っても色あせない名曲をリクエストした。

スガ:未来に向けた選曲を聞いてみたいのですが、なにを聴きましょう?
山内:僕は大阪出身なんですけれど、地元にいるときによく聴いていた、特にドライブをしながらも聴いていた、東京のアーティスト代表みたいなアーティストです。はっぴいえんどやYMOに都会的な最先端なイメージあったので、細野晴臣の曲で『東京ラッシュ』。

ここで『東京ラッシュ』をオンエアすると、スガは大興奮で、思わず「ベースヤバイね!」と言い放った。

スガ:細野さん相手に「ヤバイ」なんて恐れ多くて言えないんだけどさ(笑)。
山内:(笑)。
スガ:いやあ、すげえなやっぱりという。78年だって……これ、42年前の音なの!?
山内:かっこいいですよね。
スガ:すごいなあ……。

そのほかに山内が紹介したのは、SUPER BUTTER DOG『真夜中のスーパー・フリーク』。まだ地元にいるとき、「東京ではこういったファンキーで洒落てるバンドがいるんだな」と思いながら聴いていたそうだ。ソロプロジェクト「ハナレグミ」で知られるボーカルの永積タカシと山内は、ハナレフジというスペシャルユニットを組む仲だ。デビュー当時のレコード会社の先輩で、「よくステッカーとかマグネットとか、販促物をいただいたりとか(笑)」と交流を明かした。

松任谷由実『夕涼み』も紹介。ドライブしながら、同曲が収録されたアルバムを聴くのが大好きなのだという。

スガ:20年後の日本はさ、だんだん夕涼みが気候的になくなっていくのかもしれないよね。夏の期間がズレてきてるじゃない?
山内:あ-。今もう夏っぽくないですか。
スガ:あはは。どんどん長くなっているしさ。20年後っていうとテクノロジーのことを考えてしまいがちだけど、気候が変わるのが大きい気がするんだよね。
山内:それによって生活が変わりますもんね。わかります。
スガ:昔は夏に、32℃とかにならなかった気がしない? たまにそういう日があって、今日暑いよねって感じだったのがさ、今は38℃ですとか、耳を疑うニュースが流れるじゃない(笑)。
山内:ヤバすぎますよね(笑)。そこに適応していくしかないんですもんね。街の匂いも変わりましたよね。
スガ:変わったね! それもあるなあ。

夏の暑さも街の匂いも、歌詞で描かれやすい要素だ。2040年の日本の音楽は、そうしたところも変わっていくのかもしれない。

ふたりは、「20年前と比べて進化したこと」を語り始める。「袋ラーメンがめちゃくちゃうまくなってるんですよ」「わかる!」と大盛り上がり。

山内:食べ物の話から機材の話をするのもあれですけど、「これアンプの音と一緒じゃん!」みたいなものがでてますよね。鍵盤的なやつとか。
スガ:あれはヤバいよね。ギタリストとしてはどうなの? エフェクターをいくつも持って歩かなくてもいい時代じゃない。やっぱり嫌なの?
山内:モノによってはですけど、デジタルになったことでのレイテンシーというか、反応くらいですね。そこだけかな。音はいいんですけど、立ち上がりが……。
スガ:楽器の音が出て、機械に入って、情報処理をして外に出る。そのほんのちょっとのラグが気になると。
山内:そうなんですよね。人間ってそれがわかるんやなと思いますね。聴いている人にも伝わっていると思うんですよね。

20年後にますます機材が進化したら「ちょっと怖いよね」とスガ。

スガ:俺、鍵盤が苦手なんだよね。
山内:僕もです。
スガ:自分で打ち込んだりすると、その鍵盤の音に萎えて(笑)。
山内:わかります(笑)。
スガ:やりたくなくなっちゃうのよ(笑)。ぜんぜんイメージも伝わらないし……。だから最近はAIに弾かせてる。いわゆる自動演奏。
山内:えっ!? なんですかそれ。噂に聞きますけど、そういうのあるんですね。
スガ:最近のAIの自動演奏の精度がすごくて。この時代のこのジャンルのこの人、みたいなところまで設定できるんだよ。ソウルな感じがいいなと思ったら、そういうのを弾かせて。それをあとからMIDIで引っ張り上げて、ピアノに当てるのかウーリッツァーに当てるのかとか、楽器を選んで。それで作ると……それでいいんだよね。

そうして仕上がった音は、プロが聴いても機械が弾いているとはわからないほどだとか。


■スガが「人生でいちばんうまくできた歌詞」だと思っているのは?

番組後半では、20年前に遡ってトーク。スガがアルバム『4Flusher』をリリースした頃だ。収録曲の『木曜日、見舞いにいく』は、スガが父のお見舞いに行っていたときのことを歌ったものだという。

スガ:アルバムが出た次の年に、うちの父親が末期がんで亡くなるんだけど。なんで木曜日に見舞いに行っていたかと言うと、毎日忙しかったんだけど、木曜の夜はJ-WAVEでラジオをやっていたから、昼間のスケジュールがけっこうゆるかったの。
山内:じゃあすごくJ-WAVEとも関係があるんですね。

この曲の歌い出しは、スガが「人生でいちばんうまくできた歌詞」だと思っているという。

スガ:こういうの書きたいなというのが、そのまま書けたんだよね。
山内:なかなかないですよね。
スガ:そうそう。しかもドキュメンタリーな感じの曲なので、思い出深いですね。

このアルバムを作ったあと、「先の展望が何もなかった」と振り返る。こんな曲が作りたい、こんな曲を作って驚かせたい、といった思いがなく、レコード会社を移籍し、2年くらいリリースをしないスランプに突入する。

山内:スランプ、あったんですね。知らなかった。
スガ:まったくだめになっちゃった。なんかやっぱり、アーティストにとって4枚目のアルバムって苦しいって、Charさんに言われたんだ。「4枚目はほんとに苦しいから。でもそこを乗り越えれば大丈夫だから」って。
山内:フジファブリックも、4枚目は大変だった感じがしますね。
スガ:ほんと? やっぱりそうなんだねえ。


■ボーカロイド文化が、今のアニソンに結びついている

スガが2000年代に入ってしばらくしてから、すごく未来を感じたというボーカロイドの登場や、ボーカロイドを用いた楽曲制作の大変さについて語った。スガが仲良くしていたというボカロP・れるりりの『脳漿炸裂ガール』をオンエア。「超音楽的な人。ボカロの使い方が上手だった」と評した。

スガ:今聴いても新しい感じがするよね。
山内:かっこいいですね。
スガ:ボカロって機械だから、めちゃくちゃな転調をしてもついてくるんだよ。そのめちゃくちゃな転調が、今のアニソンに結びついている感じがするよね。
山内:ありますね。それを人力でやっているバンドもいますよね。
スガ:このあたりの文化からどんどん発展していった気がするよね。前に水樹奈々ちゃんが言っていたんだけど、デモテープが上がってくると「こんなの歌えないだろう」っていう挑戦状みたいなんだって。それを、「絶対に歌ってやる!」と練習すると。
山内:おお、かなり大変そうな……。
スガ:作曲家と水樹奈々のバトルなの(笑)。アニソン文化ってすごいところにきているよね。
山内:すごいですよね。

終盤では、20年後を想像。スガは、大好きだという『攻殻機動隊』における“電脳”という考え方が近づいてきているのではと予想しつつ、最新作である『攻殻機動隊 SAC_2045』の主題歌になっている、常田大希(King Gnu)によるソロプロジェクトmillennium paradeの『Fly with me』が「20年後っぽい音なんだよ、きっと! 未来の音なんだよ」と語った。

スガが空想ドライブをナビゲートする『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』のオンエアは、毎週日曜21時から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月7日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『Mercedes-Benz THE EXPERIENCE』
放送日時:毎週日曜 21時-21時54分
オフィシャルサイト:https://www.j-wave.co.jp/original/experience/

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