テレビ東京は、面接で大学名を聞かない。魅力あるコンテンツづくりの舞台裏

2021年3月に大学と大学院を卒業・修了する学生を対象に調査した、就職希望先の人気ランキングが発表された。そのなかで、テレビ局として1位となったのが、テレビ東京。個性的な企画で視聴者を楽しませるテレビ東京のプロデューサー・工藤里紗さんに、「働き方やコンテンツ制作の未来」を聞いた。工藤さんは『シナぷしゅ』『家のモノぜんぶ出す!』『アラサーちゃん』など数々の人気番組を手がけている。

工藤さんが登場したのは、『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。6月16日(火)のオンエア。


■まさかの1位に、局内では「フェイクニュースなんじゃ」と話題に

就職希望先の人気ランキングを発表したのは、企業の採用などを支援する株式会社ワークス・ジャパン。テレビ東京が1位となったのは、開局56年して初の快挙だ。

サッシャ:テレビ東京が1位というのが出た瞬間、工藤さんそして局内の反応はどうだったんでしょう?
工藤:これ、フェイクニュースなんじゃないかなっていう(笑)。
サッシャ・増井:(笑)。
工藤:今も若干疑っているんですけれども。でも、そう言うと「ワークス・ジャパン」の調査に申し訳ないのであれなんですが。東スポで言う「UFOが出た」「ネッシーがいた」的なことなんじゃないかと思います。ただ、こういったランキングで褒められた……と言ったら変ですけども、話題になったことがないので、素直にみんな「え?」っていう驚きとともに喜んでおります。


■今もなお挑戦し続けるベンチャー精神

なぜテレビ東京が1位を獲得したのか。局の最前線で活躍する工藤さんは「テレビに対する『就活したい』という人気そのものが落ちてきている」といったマイナスな側面もあるとしながらも、ほかのテレビ局と比べてテレビ東京の「個」が立っているように見えることが、今の時代にマッチしているのではないかと分析した。

工藤:あとは自由度であったり、開局して56年ぐらい経っているんですが、なんとなくいまだに挑戦し続けるというベンチャー感があります。会社の規模も他の局と違って小さいので、そういうところが魅力的に映ったのかなと感じております。

ステイホーム期間中、YouTubeやNetflixなどのサービスが注目されている。工藤さんによると、動画配信についてもテレビ東京なりの考え方があるという。

工藤:テレビと一言で言っても、今の時代は家電のテレビから流れるものだけがテレビじゃないんです。他局ももちろんやっていますが、うちもけっこう前から積極的にYouTubeといった配信プラットフォームとのお付き合いをしています。「面白い動画があったけど、放送できなかったらペロッとSNSに上げちゃう!」みたいなことを多角的にやっていました。これはたぶん10何年前からなんですけれども、他局だとYouTube用の動画というのをお金をかけて、しっかり作っているんです。ところがうちって貧乏根性というか、すごく面白いものがいっぱい撮れていても、放送ができる尺というのは限られているので「もったいないからネットにも出しておこう」みたいな(笑)。そういうパターンもあります。


■企画は「これが当たっているから」ではなく、個々の情熱から生まれる

制作費の制限も厳しくなってきているなか、テレビ東京ではどのような考え方や流れで企画の立案や番組作りがされているのか。

工藤:予算の問題は、けっこう昔から厳しいんですけど、最近はさらにどんどん厳しくなっているという状況があります(笑)。もともと限られたお金で企画を考えようというマインドがあるので、もしかすると予算がいっぱいある他局よりは、(予算の制限に)慣れているのかもしれません。

企画会議は、“わざわざ集まる”ことは工藤さんの周囲では少ないとか。

工藤:周りもプロデューサーも『家、ついて行ってイイですか?』の高橋(弘樹)とか、最近は『ハイパー ハードボイルド グルメリポート』の上出(遼平)とかもそうですけど、みんな個人でなんとなく気になるものをストックしていて、それを膨らませて、ある程度軸ができてから人を巻き込んで企画にしているのかなと思います。私もわりとそのスタイルです。謎のメモが大量にあって、そのなかからその時期に「今だったらこれだな」というものを出す。出すときに誰かに相談したり、「壁打ち」をしながらそれをブラッシュアップしていくというスタイルです。「企画ください!」「持ち寄る!」という感じとはちょっと違います。
増井:みんなで話し合うというよりも、個々のアイデアというのが大きいんでしょうか。
工藤:プロデューサーやディレクターによっては、企画会議を作家さんや制作会社さんと開いて企画を詰めるという人もいるんです。私個人は「個」から生まれるものが多いですね。結局、自分の今の欲に一番刺さるもの。ある意味それに命をかけるわけですから、誰かが猛烈にその企画への熱量がないと、なかなか「今これが当たっているから」というロジックの企画だと、いざ通ってからそれを続けていくのは厳しいと思うんです。
サッシャ:そこに愛がないですものね。


■就職面接で学歴を聞かない! 決め手は「“なにか”を自分の中に持っている人」

テレビ東京の就職試験では、一般的な面接でよく聞かれる項目である「大学名」の確認がないそう。面接官も担当するという工藤さんに、その内情や採用基準について聞いた。

工藤:エントリーシートにお名前は書いてあるんですが、大学名は書いていないです。
増井:採用に至るまで大学名は意識しないで選考すると。
工藤:はい。面接官も事前の説明のときに大学名やいろいろと聞かないようにというのも、厳しく注意されてやっています。人事の人が説明をするとき、なんとなく雑談で出てきちゃいそうな話も、そこは聞かないというルールをみんな厳格に守ってやっています。
サッシャ:工藤さんの場合は、なにを判断して決めていくんですか?
工藤:面接官によるんですけれど、私はエントリーシートそのものより、わりと最初の印象や、そこから派生してどのようなことを考えて話しているか? というのと、素直に一緒に働きたい仲間かどうかで判断しています。制作・報道では農家のおばあちゃんから総理大臣までいろいろな人と接するので、そこの面を特に私は見ています。
サッシャ:人付き合いがちゃんとできるかとか、番組を作るのに企画に対して柔軟性があるかとかですね。

“なにか”を自分の中に持っている人がいいのだという。

工藤:必ずしも社交的でおしゃべりな人ばかりじゃなくてもいいと思っています。いろいろなタイプの人がいたほうがバランスがいいというか、全員がお祭り人間じゃないほうがいいんです。自分の色というのを持っているのか、その色がいろいろな人と接することによって輝いていく人かな? 一緒にいたいかな?というのを見ています。


■「リアルで集まらなくてもいい会議」もある

コロナ禍で変化を求められた働き方。テレビ東京では早期に積極的な在宅勤務の推進をして話題になった。工藤さんによると、すでに今後に向けての取り組みも行われているという。

工藤:管理職や上の人間が「(変化した働き方のなかで)続けたほうがいいと思うものはなんですか?」とか、逆に家ではやりづらかったものをヒアリングしてまとめています。テレビ局ってある意味、無駄が多く、他の業界に比べて働き方も進んでいなかったところもあるので、今変化したことをそのまま大事にしていこうという流れがあります。
サッシャ:個人的にコロナが収束しても続けたいところはどこですか?
工藤:全員が集まってやったほうがいい会議、想いやマインドを伝えるような会議は対面であったほうが、熱量や表情が伝わるのでいいんですけれど、作業的な打ち合わせやチェックはリモートでも全然できるなというのを今回やってみて思いました。
サッシャ:会議の質によっても集まる必要性がないときもいっぱいあると。
工藤:そうですね。だから逆に言うと「これは一体なんのための会議か?」というのを今一度見直すいい機会にもなっています。

テレビ東京では池袋にあるイベントスペース「Mixalive TOKYO」で、6月27日(日)から1週間ほど、毎日「テレ東 無観客フェス 2020」というイベントを実施。さまざまな企画が用意されているそうなのでぜひチェックしてみては。

『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースの裏側から光を当てる。放送は月曜~木曜の10時10分ごろから。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月23日28時59分まで)
PC・スマホアプリ「radiko.jpプレミアム」(有料)なら、日本全国どこにいてもJ-WAVEが楽しめます。番組放送後1週間は「radiko.jpタイムフリー」機能で聴き直せます。

【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-12時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone/
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