在宅勤務で監視され、トイレにも行きづらい…増加する「リモートハラスメント」解決するには

緊急事態宣言が解除されても、社員の在宅勤務を推奨する企業は少なくない。在宅勤務の増加で問題となっているのが、リモートでの打ち合わせや会議の場面で横行するオンライン上で嫌がらせをする“リモートハラスメント(リモハラ)”だ。リモハラの実態とその対策とは、どんなものなのだろうか。働き方の未来について調査や研究を行っているツナグ働き方研究所所長の平賀充記さんに訊いた。

平賀さんが登場したのは、『STEP ONE』(ナビゲーター:サッシャ、増井なぎさ)のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」。6月17日(水)のオンエア。


■リモハラは「セクハラ系」「パワハラ系」に分けられる

平賀さんによると、リモートハラスメントが起こる要因は大きくセクハラ系とパワハラ系の2つに分けられる。リモートでの打ち合わせやウェブ会議で使うウェブカメラによって、プライベートが見えすぎるために起こるパターンと、逆に仕事ぶりが見えにくいために起こるパターンだ。

平賀:女性社員も部屋が見えてしまうので「後ろのカーテンの色は何?」とか「もうちょっと部屋の中を見せてよ」といったことを言われて、セクハラのニュアンスが出てくることもあります。逆に、リモートで社員の姿が見えないと上司としては部下がちゃんと仕事をしているのかわからない。その結果、より細かい仕事の管理が行き過ぎる形になってしまいます。
サッシャ:悪気はなくても、そうなってしまうこともあるんですね。
平賀:あくまで受け手の問題なので、そう感じる社員が多いとは聞きますね。

平賀さんのもとには、リモハラに関する相談や悩みが多く寄せられている。中には、仕事ぶりが見えにくいためにテレビ会議を常につなぎっぱなしにされ、トイレに行くにも気を遣うほど、監視状態を余儀なくされているケースもあるそうだ。

平賀:画面を撮影できるシステムもあって、2分に1回、仕事をしている画面のスクリーンショットを撮られるケースもあります。
サッシャ:2分に1回!?
平賀:撮っている暇があるなら上司も仕事をしろよ、という話でもあるんですが(笑)。
サッシャ:上司も仕事にならないですよね。
平賀:そうなんですよ。部下の仕事ぶりが気になり過ぎて、自分の仕事が手につかないという本末転倒な事態も起きています。あとは、「早く仕事を切り上げるんじゃないか」と疑って、たくさん働かせるためにわざと夕方18時頃から会議を入れられるケースもありますね。
サッシャ:もう嫌がらせですよね。


■なぜ日本の上司は部下の仕事ぶりが見えていないと不安なのか

平賀さんによると、リモハラが起こる大きな要因は上司による部下の仕事管理やマネジメントが密になりすぎることだという。オンラインでの3密として、密に説明を求める「密説」、監視が増えてくる「密視」、密に会議を入れてくる「密会」を挙げた。

増井:確かに会議が増えて仕事が全然進まないという話は友人からも聞きました。
平賀:リモートだと移動がないので、逆に会議招集がしやすいというのもあるんです。
サッシャ:そうか。「みんな、会議室に集まって」という時間がいらないですもんね。
平賀:そうなんです。あと、お客様との会談も向こうの会社に行く必要がないので、それが終わるとすぐに社内の会議が入って休憩時間がゼロになることもあります。

こうしたリモハラが横行する原因は、日本独特の働き方や就業の価値観が大きく影響しているそうだ。

平賀:欧米だと、職務要件といって社員の仕事内容はある程度、明確になっています。
サッシャ:その契約で成り立っていますもんね。
平賀:そうなんです。でも日本は昔から、社員に対してなんでも屋さんのように使ってしまう傾向があります。よく言うとジェネラリストと呼ばれるものですが、ふわっと仕事を任せることが多い。そのため、仕事の内容や範疇の線引きが曖昧なんです。だから、「結局部下って何やってるんだっけ?」と、仕事を把握しにくくなっています。

もう一つの原因は、仕事における評価が働いた量にいきがちなことだ。成果やできあがったもので評価せず、プロセスに焦点を当てがちなために仕事ぶりが見えていないと余計に不安になるという。


■上司は部下を信じ切る「性善説」で考えて

平賀さんはリモハラする側に回らないための対策も解説。パワハラ系のリモハラについては、「信頼関係を作った上で、成果で評価することを自分にも言い聞かせておくことが大事」と語った。

平賀:セクハラ系のリモハラは不用意なことで起きます。どうしてもプライベートが見えると会話が緩くなり、「最近太った?」と本当に悪気なく言う上司もいるらしいんです。オフィスでは絶対にしない会話をしてしまうと聞いているので、やっぱり気を張ることが大事かなと思いますね。
サッシャ:確かに、リモートワークは仕事モードに切り替えにくいものだけど、それが悪い方向に出ちゃう場合もあるということですね。

リモハラを受けないために個人でできる対策としては、相手を不安に思わせないことだ。

平賀:連絡や問い合わせがあっても放置すると「ちゃんと仕事してんのか?」となるので、レスポンスはとにかくスピーディーにしたいですね。メールやチャットのやり取りだけでなく、手っ取り早く電話ですぐ訊いて、その場その場で解決することも大事ですね。また、上司は顔が見えないことが不安なので、仮想背景を使いながらでも顔は映して対面で話をしたほうが上司も安心するのではないでしょうか。

部下の仕事ぶりが見えないことが不安になるということは、部下に対して「監視していないとサボるはずだ」と思っているということだ。そうした性悪説ではなく、性善説によって部下に仕事を任せることができるかどうかが上司側に問われている。

サッシャ:性善説を取り入れている会社はありますか?
平賀:今もリモートでやっているGoogleですね。すごく働きやすい会社だと言われていますが、採用した人を信じ切ることが個人のイノベーションや圧倒的な能力を引き出すことを彼らは本当に信じています。そこが新しい技術や開発力につながっているんでしょうね。
サッシャ:信頼されていると思うと、多くの人は頑張ろうと思いますもんね。
平賀:そうですね。その内発的動機や、やる気が芽生える状態は、すごいエネルギーになると思います。今回のコロナが、日本的企業がGoogleのような企業に生まれ変わるきっかけになれば非常にいいと思いますね。変わるチャンスが来たわけですから。

J-WAVE『STEP ONE』のワンコーナー「BEHIND THE SCENE」では、気になるニュースをその裏側から光を当て、様々な視点から紹介する。放送は月曜~木曜の10時10分頃から。

【この記事の放送回をradikoで聴く】(2020年6月24日28時59分まで)
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【番組情報】
番組名:『STEP ONE』
放送日時:月・火・水・木曜 9時-12時30分
オフィシャルサイト: https://www.j-wave.co.jp/original/stepone
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